映像には、人の人生を変えるような力や影響力がある。映像翻訳に携わる中で、作品を通して世界を伝え、誰かの人生に良い影響を残すことができたらうれしい
Y.M.さん
講座 | 東京校 英日字幕翻訳講座 |
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修了年月 | 2020年 |
修了後の進路 | 東京校 英日字幕翻訳クラス基礎科・実践科のグループ講座を受講し、2020年に修了。自身の翻訳のブラッシュアップのため、マンツーマンでインテンシブ講座を受講。その後、母体の翻訳会社から、チェッカーとしてスカウトされ契約社員として登録。2年間、チェッカーとして、週に2~3日程度の頻度でチェック業務に従事。2023年に登録形態をフリーランスに変更し、チェッカー・翻訳者として字幕制作の業務に携わっている。小学校高学年と高校生の2児の母。(2023年11月現在) |
家事・育児と字幕翻訳の仕事を両立するには?
いろいろな仕事や働き方があることを、私が働く姿を通して子供たちにも感じ取ってほしい。
家事、育児、介護など、家庭の状況や事情で、かぎられた時間しか仕事ができないという方も多いですよね。復職をしたくても、以前とは同じ働き方ができなかったり、これから仕事を探そうと思っていても、希望する条件に該当する仕事が見つからなかったりと、全ての時間を自分だけのために使えない方にとって仕事選びはとても大変だと思います。
そんな子育て・介護中の方におすすめしたいのが字幕翻訳のお仕事です。パソコン1つあれば、場所を選ばずにどこでもできますし、フリーランスであれば、仕事の量もある程度、ご自身でコントロールが可能なので、主婦(夫)業とバランスを取りながら、続けやすいお仕事です。語学に携わる仕事がしたい、映画・テレビ番組に興味があるという方は、字幕翻訳の仕事をぜひご検討ください。
ワイズの翻訳スクールでは、産後に在宅でできる仕事がしたい、育児は落ち着いてきたけれど以前のように会社勤めはできない…といった理由で字幕翻訳者を目指し学習をスタートされる方が多くいらっしゃいます。そんな修了生のひとりであるY.M.さんに、お話を伺いました。
Y.M.さんは、小学校高学年と高校生の2人のお子さまの母でありながら、ワイズの字幕翻訳スクールに通学をして、現在はフリーランスのチェッカー・翻訳者としてお仕事をされています。どのような経緯で字幕翻訳の仕事に興味を持ったのか、また翻訳者になるまでの過程を聞いてみました。
字幕翻訳者を目指す前は、どのようなお仕事をしていましたか?
大学卒業後は、日本の会社に就職をしました。高校生の夏休みに行ったアメリカでのホームステイで思うようにコミュニケーションがとれなかった悔しさから英語の勉強に火がつき、しだいに将来は外国で仕事をしてみたいと考えるようになりました。そこで海外勤務のチャンスがある会社を選んだのですが、実際に勤めてみると、そこまでの道のりはかなり長いと感じました。就職して4年目、ならば自分で直接チャンスをつかもうと、勤務地をアメリカに絞って就職活動を始めたところ、希望に見合う現地の企業から内定をいただくことができたので、日本の会社を辞職して単身で渡米しました。
最初はテレビ局の報道センターにインターンとして1年勤め、その後はラジオ局に正社員として勤務していました。そこで、現在の夫(アメリカ人)と出会い結婚し、出産をきっかけに日本に帰国しました。
アメリカにいたときに、日本の新聞社に勤めていた知り合いから現地ルポ(アメリカで取材をして日本語の記事を書く)の仕事も受けていて、帰国後はその経験を生かし、“英語で取材をして日本語で記事を書く”という仕事をしていました。1人目の育児中もライターの仕事は続けていましたが、2人目が生まれてからは子育てに専念することに決め、しばらく仕事はお休みしていました。
ライターとしてのご経験がある中で、字幕翻訳を学ぼうと思ったのはどうしてですか?
ライターの仕事は、取材など相手に時間や都合を合わせないといけないですし、当日に変更やキャンセルになることもあるので、家事・育児をしながら対応するのは難しいと思いました。
人と話すことが好きなので、通訳のスクールに通ったりもしましたが、ちょうど、映画『ボヘミアン・ラプソディ』の字幕を手掛けられた方の初心者向けの翻訳講座があることを知って参加したのがきっかけで、字幕翻訳に興味が湧きました。
テレビや映画などのメディアに関わる仕事であることや、話し言葉を訳すこと、アウトプットは日本語で書くというところなど、自分の好きなところを“いいとこ取り”した仕事だと感じました。
アメリカでの就労経験やご家族に英語ネイティブがいらっしゃり、ライターのご経験もおありということで、かなりアドバンテージがあるように感じますが、実際に字幕翻訳を学んで、どう感じましたか?
英語は長年やってきて、日常でも家族との会話は英語ですが、映像の内容によっては、これまで触れてきたことがないような表現も出てくるので、字幕翻訳をしているときは、常に新しいことを学んでいる実感があります。ネイティブでも、切り取られたワンシーンを見ただけでは完全な解釈は難しいこともあります。正確に分かりやすく訳すためには作品全体の流れを意識しなければなりませんし、長年、字幕翻訳をしてきている方の経験から来る勘は、するどいなと感じています。
また字幕には字数制限があるので、その制約の中で、いかに分かりやすく伝えられるかは字幕翻訳者の技量にかかってくる部分です。やりがいを感じると共にまだまだ勉強しつづけなくちゃいけないと思っています。
家事・育児をしながらスクールに通うのは大変でしたか?
子供たちは、幼児期ほど手もかからなくなっていましたし、「好きなことに熱中してほしい」という家族の応援や理解もあって、受講を決めました。
私は東京校の土曜の通学コースを受講しましたが、課題の量は、ある程度、予測できていたので、時間を決めて、日中にやれるところまでやって、終わらなければ夜に続きをやるという感じでやりくりしていたと思います。ひととおり終わったら、提出期限のぎりぎりまで、悩み、修正を加えて提出していました。講座は少人数でアットホームな雰囲気でしたし、他の受講生の方との交流もできて、毎週の授業をいつも楽しみにしていました。
グループ講座、マンツーマン講座をそれぞれ受講して、どのように感じましたか?
グループ講座で、他の方の訳やそれに対するフィードバックを聞けたのはとてもためになりましたし、対面の授業なので分からないことをその場で解決できたのは良かったです。 “自分の訳で大丈夫だ“と思って課題を提出しているわけですが、この表現では分かりづらい、違う意味にとれる、というような第三者の意見を聞けるのは、通学講座の醍醐味ではないでしょうか。字幕翻訳は、単純に英語が分かる、日本語が書けるだけではできない難しさがあります。字数制限がある中で、どの情報を取捨選択すべきかなど、そこに行きつくまでのプロセスや考え方を講座の中で直に学ぶことができたと思います。
実践科を修了後にマンツーマンのインテンシブ講座を受講しまして、これも対面形式にしていただきました。1対1だったので、タイミングを計らなくても会話の流れの中ですぐに質問ができましたし、全部が自分に対するアドバイスなので、とても充実していました。講師の方の表情から読み取れる情報も多かったですし、“字幕翻訳をする上で重要な視点は何なのか”を意識できるようになったのは、このインテンシブ講座でのアドバイスがきっかけだったと思います。
講座修了後、2年間のチェッカー業務のあと、現在はフリーランスの字幕翻訳者・外部チェッカーとしてお仕事をしていらっしゃいますが、家事・育児をしながらどのような働き方をしていきたいと考えていますか。また、今後の目標はありますか。
フルタイムで働き、毎日、仕事に行くというワークスタイルもありますが、それだけが働き方ではありません。自分のペースで好きなことを仕事にするスタイルもあるということを私が働く姿を通して子供たちにも感じ取ってほしいと思っています。ですので、できるかぎりは、仕事を受けたいと思っていますし、そのために子供たちにも協力してもらっています。1日24時間ある中で仕事をする時間を自分でつくれるという点は、フリーランスならではの魅力です。
ただ、仕事は長く続けていきたいと思っているので、根を詰めすぎて、心身ともに余裕がなくなってしまわないように、余白の時間がとれるよう加減はしています。子供がいると、どうしても突発的なことが起きたりするので、そういった点でも柔軟に動ける時間を残しておくのは、大事だなと感じています。
今は将来的な目標や計画を大きく掲げるというよりは、映像翻訳の世界で自分ができることを少しずつ積み上げていく段階だと思っています。
思い返すと、私が海外へ興味やあこがれを抱いたのは、子供のころに見た映像がきっかけでした。映像を通して違う国の人の姿や文化のかたちを知ることがなければ、アメリカへの移住や国際結婚、そして翻訳の仕事をするという今もなかったと思います。映像には、人の人生を変えるような力や影響力があると感じます。私も映像翻訳に携わる中で、作品を通して世界を伝え、誰かの人生に良い影響を残すことができたらうれしいなと思っています。
Y.M.さんのお話は参考になりましたか? どの仕事も、起動に乗るまでには、ある程度の時間がかかります。Y.M.さんの場合は、講座受講からフリーランスの翻訳者になるまで4年強。その前も、通訳の勉強をするなど、映像翻訳に巡り合うまでは、いろいろと模索をしたようです。いま現在も、生活の100%が仕事中心という働き方ではありません。
育児・介護中であれば、自由になる時間がかぎられているので、ご家族の理解や協力が必要ですし、人より時間もかかるかもしれません。すぐに手に職を…と焦ってしまう気持ちがあるかもしれませんが、ご自身やご家族のペースで、少しずつキャリアを積み重ねていく働き方があってもいいですよね。
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