2018.12.7
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ワイズ・インフィニティ 映像翻訳通信 Vol.59
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こんにちは。
ワイズ・インフィニティ教育事業部の花田です。
先週、テレビで「M-1グランプリ」を見ました。
割と好きで、毎年見ているのですが、
どのコンビも初公開のネタを
入念に練習してきているので、本当に面白いです。
当然ながら、その日一番面白かったコンビが
優勝するわけですが、
そのコンビが大会後も大活躍し続けるかというと
必ずしもそうではないというのは
皆さんもお分かりではないかと思います。
(特定のコンビのことを言っているわけではなく、
あくまで一般論です)
逆に、決勝で敗れたり、決勝にも上がれなかったりしても、
その後、爆発的に売れていくコンビだっています。
(これもあくまで一般論です)
本番で緊張しすぎて実力を出せなかったとか、
別のネタにしておけばよかったとか、
いろいろ理由はあるとは思いますが
根本的には、
トーナメントのような大会で勝ち上がる力と、
普通の舞台などで10回ネタをやって
毎回観客の大爆笑を取れる力というのは
別だからだと思います。
(「お笑い」はあくまで例として取り上げており、
これ以上深掘りすると専門家の方に怒られてしまうので
これくらいにします)
さて、ようやく本題です。
「翻訳」で考えてみると、
例えば翻訳コンテストで優勝できる力と、
何十年も翻訳者として活躍できる力は
必ずしも同じではないということです。
コンテストでは映画やドラマを全編見ることはできないので
限られた範囲の中で、上手にまとめたり
出題者の意図をくんでうまく訳したりといったことが
求められるように思います(あくまで一般的に)。
一方、現役数十年の翻訳者というのは
どんなジャンル・内容の案件でも
常に合格点以上を出せる人と言えるでしょう。
しかしながら、そのような翻訳者が
仮にコンテストに挑んだ場合、
上位には食い込むでしょうが
必ず優勝できるとは限りません。
それは、その翻訳者がヘタだということではなく、
コンテストという枠の中では一番ではなかった
というだけのことです。
では、コンテストは意味がないのか、というと
そうではありません。
上達するうえでの目標にすることは非常に有益です。
しかし、それはあくまで通過点であって、
到達点(ゴール)として捉えてしまうと
本来身につけるべき力が備わらなくなってしまう
ということにつながりかねません。
ちなみに、トライアル(登録試験)も
映像の一部分を切り取って行いますが
コンテストとは別物です。
コンテスト(の評価)は、優劣をつけるうえで、
どうしても他人との比較を
せざるを得ない側面があるのに対し、
トライアルはどちらかというと
受験者の実力のみを測るといえます。
原語力、日本語力、表記、リサーチ、スポッティングなど
その人が実案件をこなせるレベルに達しているかを
見極めるためのものですので、
コンテストとは根本的に異なります。
これから翻訳者を目指す人も
すでに翻訳者の人も、
末永く活躍していける実力を
身につけていってほしいと思います。