1.セリフは話しているとおり、すべて字幕にする。
字幕翻訳では、秒数に応じた字数内で翻訳をするというルールがありますが、クローズドキャプションでは、話していることはすべて聞き起こします。同じ言葉を繰り返したり、くたげたしゃべり方や、方言であっても方言であっても、基本的に要約したりせずに、聞こえたままを字幕にします。
しかし、ただ聞こえたとおり文字に起こしていくだけでは、字幕としては不十分です。誤字・脱字がないようにするのはもちろんですが、作品内で表記/漢字にバラツキがあってはいけないので、指定辞書に沿った表記/漢字で統一をします。地名や人名、作品名などの固有名詞や、歌詞、標語などが出てくれば、表記の裏取りも行います。字幕として読みやすいようなハコ割り、改行やスペースの入れ方にも配慮が必要です。
聞き起こしのポイント
- ・要約はせずに、聞こえたとおり、全てを字幕にする
- ・誤字/脱字チェック
- ・指定辞書合わせの表記にする
- ・情報の裏取り
- ・読みやすいハコ割り、改行/スペースを配慮する
2.話者名を入れる
クローズドキャプションでは、登場人物が後ろ向き、画面外、口元が見えない状態でしゃべっているシーンで誰のセリフなのかを明確にするため、話者名を入れるというルールがあります。役名、役名のない人物なら職業名、性別などです。支給される台本どおりではないことも多いため、人物像やストーリーの流れも把握しておかなければいけません。
ふだん、テレビ番組や映画を見ていて、登場人物全員の名前を気にして見ることは少ないですよね。公式ホームページや台本がある場合は、それをもとに話者名を決めますが、台本がない場合(台本に載っていない人物名)などは、映像内から情報を得たりするため、クローズドキャプション制作をしていると、より深く作品を知ることができますよ。
3.音説明
クローズドキャプションのいちばんの特徴といえるのが「音説明」です。「音説明」とは、ストーリーに関係する効果音を字幕に起こしたもののことを指します。聞こえる音、全てに音説明をつけるのではなく、必要な音を判断して入れます。
音説明の一例をご紹介します。
- ・人物から発せられるセリフ以外の音:(ため息)、(笑い声)、(泣き声)など
- ・ストーリーに関連する音:(ノック)、(ドアが開く音)、(サイレン)など
- ・BGM、音楽:オープニング、エンディング、作品中で流れる音楽など
- *ジャンルや媒体によって制作ルールが異なります。
音が聞こえれば明白でも、音がない状況で作品を見てみると、分からない音の情報は意外とたくさんあります。「音説明」は、耳が不自由な方の立場に立って考えながら、必要な箇所を見極めながら入れることが必要です。
「クローズドキャプション」について、具体的にイメージはできましたでしょうか。
クローズドキャプションは、字幕翻訳のように一定の外国語スキルが必要というわけではないので、どなたでも始めるチャンスがあります。制作には、話者名・音説明だけでなく、さまざまな決まり事があるので、お仕事としてスキルを身につけるには専門のスクールでの学習が必要です。
ワイズ・インフィンティのクローズドキャプション講座では、クローズドキャプション制作や字幕ソフトのご経験がない方でも約半年で、専門のスキルを身につけることができます。講座修了後は、講座運営会社の株式会社ワイズ・インフィニティのトライアル受験ができ、トライアルに合格された方は株式会社ワイズ・インフィニティにフリーランスのクローズドキャプション制作者としてご登録いただけます。実際にクローズドキャプション制作を請け負っている運営会社に登録することで、お仕事の機会を得ることができますし、運営会社主催のご登録者向けのセミナーなどで常に最新のルール・情報を得ることもできます。
スキルさえ身につけてしまえば、パソコン1つ(辞書などの備品は必要になりますが)だけで、どこででもできるというのも、この仕事の魅力です。ドラマや映画が好きな方は、ぜひ制作側としてお仕事をしてみませんか?
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クローズドキャプション講座 基礎科
基本的なルールを学び、制作を体験することで、クローズドキャプションの概要を理解していきます。 字幕制作が未経験でも受講可能です。