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翻訳の現場から


2016.04.12

風間先生の翻訳コラム

コラム第16回:メールください

メールください

今や日常生活に欠かせないものとなったメール。これは英語で何と言うのか。mailでしょと思った人、それでは郵便になってしまう。正解はtextだ。最初にセリフで出てきたのがいつかは忘れてしまったが、とまどったのを覚えている。ただ、前後の流れからメールのことを指していたのは明らかだったし、それから何度も目にするようになり、すっかりメール=textとインプットされた。ちなみに、これは"Text me" などと動詞としても使える。この辺りは検索サイトのグーグルから「ググる」という動詞が生まれたのと似ているね。

ところが先日やった作品で次のような会話が出てきた。他人の携帯電話を調べている2人の会話だ。A:He deleted all his emails./B:Try texts.――A:彼、メールを全部消去してる。/B:メールを見てみて……あれあれ、どういうこと?textってメールの意味じゃなかったっけ?しかし、続く画面で調べているのは明らかにメールだ。

こういう時はストレートに"email text 違い"というキーワードで調べてみる。するとたちまち疑問は氷解した。textとはtext messageの略で、正式にはSMS=short message serviceと呼ばれる。送れるのは文字=textのみだ。SMSと言われてピンと来ない人も、AUのCメール、docomoやソフトバンクのショートメールのことだと言えば分かるだろう。つまり携帯同士でやり取りするメールのことだ。

これに対してemail/e-mailというのはコンピューター同士でやり取りするメールのことだ。上述のセリフ中のemailとは携帯からコンピューターに送ったメールのことだろう。または携帯同士でもファイルや画像を添付する場合はEメールでないと送れない。SMSはファイル等を添付できないし、コンピューターにメッセージを送ることはできないのだ。

ということで上述の会話を誤解の余地がないように訳し直すと、A:彼、Eメールを全部消去してる。/B:SMSを見てみて となるわけだ。ただ、上にも書いたがSMSではピンと来ない。僕はAU携帯なのでCメールで通じるが、ショートメールの方が分かりやすいという人もいるはずだ。そこで通常のメール(=Eメール)と区別するために「携帯メール」と訳すことにした。

ということで、冒頭の「メール=text」というのは間違いということになる。携帯同士の文字だけのメールならtext、いわゆる普通のメールはemail/e-mailというのが正解だ。ただ、実際に翻訳する場合、textとemailの両方が出て来た場合は訳し分けなければいけないが、その作品中でtextしか出て来なかったら、単に「メール」でいいだろう。

英語ではこんな厳密に使い分けているとは知らなかった。さらに最近はLINEもあるし、フェイスブックでメッセージも送れる。チャットやインスタントメッセージなんてのもあるぞ。いろいろあって訳し分けが大変だな。

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