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翻訳の現場から


2016.12.14

風間先生の翻訳コラム

コラム第24回:こちらを敵側に向けること

こちらを敵側に向けること

『バイオハザード:ザ・ファイナル』
12月23日(祝・金)より世界最速公開
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

あの「バイオハザード」シリーズがついに最終章を迎える。「バイオハザード: ザ・ファイナル」だ。縁あって翻訳を依頼されたのだが、既に5作も作られたロングシリーズなので、翻訳前に改めて世界観だの用語を確認しなくてはと、過去5作を一気見した。お陰で、翻訳時は頭の中がゾンビとクローンでいっぱいである。担当の方に「ビンジ・ウォッチお疲れさまです」と言われたが、テレビシリーズなどを一気に見ることをビンジ・ウォッチ/binge-watchというのだと初めて知った。bingeとは大酒や大飯を食らうという意味らしい。またひとつ賢くなっていく私たち!

本シリーズは有名だし、内容を書いてネタバレするわけにもいかない。そこで、例によって話を脱線させていこう。

今回ゾンビと戦うのに地雷を使用するシーンがあるのだが、この地雷が少し変わっている。変わっているが、アクション物や戦争物では非常に有名な地雷でもあるのだ。その名をクレイモア/Claymoreという。指向性地雷とか方向性地雷ともいう。

地雷というと円盤形で、地面に埋めて、敵が足で踏むと爆発する物を想像するのではないか。しかしクレイモアは違う。まず形。ウイスキーをズボンの尻ポケットに入れて持ち歩くスキットルというステンレス製の容器をご存じだと思うが、あれを横長にした感じだ。サイズが約20×8×3というから手に持てる大きさだ。スキットルのように少し湾曲している。

そして起爆方法だが、足で踏ませるのではない。目的に応じてリモコンや時限装置などで爆発させる。映画でよく出てくるのはワイヤートラップを使った起爆法だ。敵が通りそうな道筋にワイヤーを張っておいて、脚がワイヤーを引っ張ると爆発するという仕掛けだ。

さらにクレイモアは裏表がある。それが分かるように、表側にはFRONT TOWARD ENEMYと書いてある。"(こちらを)敵側に向けろ"ということだ。これが指向性、方向性と言われる所以なんですね。クレイモアは地面に埋めるのではなく、敵が通るであろう方向に表側を向けて仕掛けておくのだ。そのために本体の下に脚が付いている。また、その辺の木の根元にくくりつけておいてもいい。無作為に広範囲にバラまく普通の地雷と違い、待ち伏せなどに使うことが多い。だから戦争物に限定されず、アクション物などでもよく登場するのだ。

内部には鋼鉄球とC-4(いわゆるプラスチック爆薬)が入っていて、起爆すると鋼鉄球が飛び散る。超強力な散弾銃が仕掛けられていると思えばいい。ウィキペディアによれば有効加害距離は約50m、加害範囲は60度だそうだ。つまり加害範囲は前方に向けて扇状に広がるということ。歩いている横で爆発したら愉快ではいられない代物である。

こういう地雷だと知って本編を見れば、クレイモアを使う意味が分かると思う。実生活ではまったく必要のない知識だが、映画を理解する足しになるだろうということで、物騒な話だがご勘弁いただきたい。アリスはこのクレイモアを使って… 以下省略!

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