2019.04.12
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ワイズ・インフィニティ 映像翻訳通信 Vol.75
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こんにちは。
ワイズ・インフィニティ 教育事業部の
花田です。
皆さんは、映画祭に行かれたりしますか。
映画祭の作品はさまざまな国から出品されており、
英語以外の言語の場合、画面下に英語字幕が付いていて、
その英語を基に日本語の字幕を
作成するということもよくあります。
いわゆる「翻訳の翻訳」になるので、
もし原語が分かる人がいるのであれば、
その人が直接日本語に訳したほうが
ニュアンスのずれが少なくなるのは
当然でしょう。
ただ、その言語が分かる人がなかなか見つからなかったり
いたとしてもタイミングよく仕事を
引き受けてもらえなかったり、
時には予算の関係で頼めなかったりして
結局、英語の翻訳者が翻訳を行うということは
珍しくありません。
そのような場合、元となる翻訳(この場合は英語)の精度も
重要になってきますが、
それに加えて、日本語にする際に
単語レベルできちんと訳出できていないと
元のニュアンスからかけ離れた意味に
なってしまう可能性があります。
物語の核となる部分は
文脈から読み取ることもできますので
ストーリーの理解に支障をきたすような状態に
なることはまれなのですが、
あまり重要ではない箇所の場合、
仮にミスがあったとしても
大して問題にならないということもあり、
実際は結構な頻度で発生しているのではないかと
個人的には気がかりです。
以前見た中国語作品に英語字幕がついていて、
原語で「風雲人物」という語にあたる箇所は
「famous person」という字幕が出ていました。
中国語に詳しい人に聞いたところ、
「風雲人物」のニュアンスは
「アイドル的存在、スター」だそうです。
一方「famous person」はそのまま訳すと「有名(な)人」。
「君はスターだった」と「君は有名人だった」は、
意味がまったく違うということはありませんが、
微妙にニュアンスが異なります。
輝きを放つのが「スター」であって、それは悪評で
名をはせた「有名人」を指したりはしません。
「スター」はたいてい「有名(人)」ですが、
「有名人」は必ずしも「スター」ではないわけです。
なんとなく一緒だからと、
こういった細かいニュアンスを疎かにしてしまうと
製作者の意図が正しく伝わらないということに
つながっていきます。
翻訳作業時に英語字幕しか頼れるものがない
という場合もありますが、もし原語が分かる人に
聞くことができるのであれば
英語字幕だけに頼らずに、積極的に
聞いたほうがいいですね。当たり前ですが。
今はウェブ上に多言語翻訳サイトが多数あるので
おや?と思ったら、とりあえず引いてみるという
スタンスも案外大事かもしれません。