2018.03.23
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
ワイズ・インフィニティ 映像翻訳通信 Vol.23
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
はじめまして。
メルマガ初登場になります、大阪事業所の花田です。
学習者の方からよく
「字幕の勉強のためにどんな本をよめばいいか」と
聞かれるので、今回は映像翻訳関連の書籍について
あえてちょっと古めのものを紹介します。
現在のスタンダードに合わないことも
書かれてありますが、
どんな業界でもその歴史を知ることは大事。
絶版になっているものもありますので、
気になる本があれば
Amazonや古書サイト等をのぞいてみてください。
さて、関連書籍は
主に翻訳スキルアップを目指すものと、
業界や翻訳の内情を盛り込んだ
エッセイのようなものに分かれるかと思いますが、
まずは書籍上で字幕の学習ができる
字幕スキルアップ本の決定版
「スーパー字幕翻訳抗議の実況中継」(語学春秋社)。
受験の時に誰しも一度は開いたことがある
「実況中継」シリーズの字幕翻訳版です。
講師(著者)は故 岡枝慎二さん。
英語のみならず仏・独・伊・西・露の字幕翻訳まで
こなした天才的頭脳の持ち主です。
「実況中継」シリーズの特徴は、
まるで講義を耳で聴いているかのように
内容が頭に入ってくることですよね。
本書も多分に漏れず、
字幕翻訳の基礎的な知識は
これ1冊で身に着くのではないかというほどの
すばらしい内容です。
全10回に分けられていて、
毎回初めに自分で実際に翻訳してみてから
読み進めると理解度が増すはず。
間に豆知識や常識テストなんかもあり、
今ではほぼ姿を消したフィルムについての説明もあるので
読み物としても単純に面白いです。
続いては
「映画字幕の作り方教えます」(文春文庫)。
字幕の創成期に活躍された清水俊二さんの著作です。
戸田奈津子さんの師匠としても有名ですね。
本書は字幕の作り方に関することはもちろんのこと、
当時(1980年代)の字幕家志望の人についてや、
自身が字幕を作るようになったいきさつなど、
字幕翻訳の関係者じゃなくても
映画ファンなら楽しめる内容です。
あの「フルメタル・ジャケット」に関する事件についても
事細かに記載されています。
キューブリック監督とのやり取りには
興味深いものがありますね。
知る人ぞ知る逸話はファンにはたまらないのではないでしょうか。
最後はテレビ映画吹替えの祖、
額田やえ子さんの「アテレコあれこれ」(中公文庫)。
その名のとおりこちらは
吹替え翻訳についての著作で、翻訳の仕方というより
当時の収録現場での話や業界についての
裏話などが子細に語られていて、
古き良き時代を感じさせてくれる(他意はありません)一冊です。
現在みたいにセリフの一部分を
切り貼りできるような機器がない時代は、
収録でセリフを言い間違ったりすると
冒頭から録り直さなければならなかったなど、
「ええっ!?」と思わずうなってしまう
エピソードが盛りだくさんです。
吹替え翻訳者志望じゃなくても、
ぜひ知っておきたい歴史が詰め込まれています。
以上、個人的なチョイスで
3冊紹介させていただきました。
関連書籍はまだまだたくさんありますので、
自身で探してみてはいかがでしょうか。
メルマガで取り上げて欲しいトピックや
質問がございましたら、下記のフォームから
お問い合わせください♪
https://wiseinfinity-school.com/magazine/index.php#info