2018.07.20
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ワイズ・インフィニティ 映像翻訳通信 Vol.40
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【 ワイズ・インフィニティ 映像翻訳通信 】
こんにちは。
ワイズ・インフィニティ教育事業部の花田です。
もう随分前のことですが、
字幕(翻訳)で求められるのは
どのような日本語か、という問いがありました。
「正しい日本語」
「分かりやすい日本語」
「原文のニュアンスを的確にとらえた日本語」
など、回答はさまざま。
正解は
「場に合った日本語」だったわけですが、
それにしても、なぜ「正しい日本語」ではダメなのでしょう。
それは翻訳者が正しい意味を知っていて使ったとしても
観客や視聴者が反対の意味で受け取ってしまうリスクが
あるからです。
例えば意味を間違えて覚えている代表例として
以下の言葉があります。
「気のおけない」相手(×気が休まらない相手 ○心が許せる相手)
「潮時」(△物事の終わり ○ちょうどいい時機)
「煮詰まる」(×行き詰まる ○そろそろ結論が出る状態)
「失笑」(×笑いも出ないほどあきれる ○こらえきれず吹き出す)
言葉によっては正反対の意味になってしまうので、
ストーリーの理解に支障が出てしまいかねません。
正しい意味で使えば、誤解される恐れがあるし
間違って覚えている人が多いという仮定の下、
あえて間違った意味で使えば、翻訳者としての資質を問われてしまう…
というジレンマに陥り、結局その言葉は使用せず
別の表現を考える、ということに落ち着くのが
一般的ではないでしょうか。
字幕(翻訳)では必ずしも
正しい日本語がベストではないのは
そういった理由です。