2018.09.28
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ワイズ・インフィニティ 映像翻訳通信 Vol.50
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こんにちは。
ワイズ・インフィニティ教育事業部の花田です。
先週の映像翻訳フォーラムにお越しいただいきました皆様、
ありがとうございました。
私もコンクールの審査員の1人として
講評させていただきましたが、
時間の関係で伝えきれなかったことや
改めて強調しておきたいことを、
コンクールに応募していない方にも分かるように
書かせていただきたいと思います。
まず、兄から妹への呼びかけについてですが、
「君」という訳が複数見受けられました。
こういう場合は、通常の状況を思い浮かべてみてください。
「お前」とか、名前を呼び捨てにするのが
一般的ではないでしょうか。
100パーセント呼ばないとは言い切れませんが
字幕翻訳という範疇では、「君」を使うのは
特殊な場合に限られそうです。
次に登場人物の表記です。
ウェブサイトの構成が分かりづらかったかもしれませんが
「あらすじ」や「シーン説明」に表記されている
人名表記についてはそのまま使用しましょう。
その際、キーボードの手打ちはご法度です。
必ずコピーして貼り付ける癖をつけてください。
(まれにコピーできないサイトもありますが)
今回に限らず、データベースの文字を手打ちしたなと
思われる実例は実際の案件でも結構な確率で見受けられます。
続いて、「早く収穫できる作物」の意味で
「早生(わせ、そうせい)」という訳語がありましたが、
一般的になじみのない言葉で、パッと見て正確な意味が
分かる人が少ないと思わるので、使用は控えたほうがいいでしょう。
最後は講評時にもお伝えした、複数の意味に
解釈できる言い回しは避けるというやつです。
英語で恐縮ですが、原文は「We thought…」で、意味としては
「(お前は言葉を話せないんじゃないかと)思ってた」ですが、
使える字数は5文字なので、参加された皆さんは
訳出に頭を悩ませたと思います。
訳の1つに「話せないと…」というものがありましたが
これだと「お前は話せないと思ってた」という本来の意味ではなく、
「話せないと、この先お前は苦労することに…」という
別の文が省略されているとも解釈できるので注意が必要です。
(ちなみに一番多かった訳は「てっきり…」でした)。
以上、簡単ではありますが
実案件を行う上でも注意すべき点を中心に
挙げてみました。
今回、惜しくも入賞を逃した方も
引き続き研鑽に励んでいただければと思います。