TEL
03-5544-8512

休校日:日曜・月曜・祝日


資料請求
お問い合わせ

MENU

翻訳の現場から


2026.05.31

風間先生の翻訳コラム

コラム第137回:グラディス・ナイト・プレゼンツ

グラディス・ナイト・プレゼンツ


『Michael/マイケル』
6月12日(金)より全国公開
配給:キノフィルムズ
®, TM & © 2026 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

 「Michael/マイケル」はマイケル・ジャクソンの伝記映画である――これ以上の説明は不要だろう。北米では音楽伝記映画として歴代最高の興収を叩きだした。本作は公開時、観客から圧倒的な支持を受けながら、批評家の受けはあまりよくなかった。マイケルを聖人扱いしているというのが主な批判だ。だがこれには理由がある。
 彼は1993年に児童性愛疑惑で民事訴訟を起こされている。現在では告発を行った少年の父親が偽の記憶を与える効果のある薬を飲ませてでっちあげた恐喝事件だと言われており、当時も争えばマイケル側が勝訴すると思われていた。だが判決までには時間がかかる。裁判が長引けばアーティスト活動に支障も出ると考え、マイケル側は原告との和解を選んだ。その条件の一つに、今後事件のことを語ったり文章や映像にすることを禁ずるという一項があった。このことを本作の制作に関わったマイケルの親族側が失念していたらしいのだ。
 実際、本作ではこの訴訟を描いて完成させたが、和解条項違反ということでカットされ、映画は再編集と追加撮影を余儀なくされた。だから疑惑を描かなかったのではなく描けなかったのだ。これは聖人扱いという批判に対するひとつの答えだろう。
 さて、今回は物語の本筋には関わらない作品内の小ネタを書いていく。白紙で映画に向き合いたい方は鑑賞後にお読みください。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・ジャクソン5が最初に大きなステージでパフォーマンスするのがシカゴのリーガル劇場。ここは黒人向け劇場として有名な音楽の殿堂だった。残念ながら1973年に取り壊されている。史実では、ジャクソン5は前座を務めた。この時のトリの1組が映画にも出てきたグラディス・ナイト&ザ・ピップス。実際とは登場順が逆だが、これはストーリー上の変更だろう。グラディス・ナイトは最初にモータウンにジャクソン5を紹介した人物として知られている。しかしモータウンは彼らのデビューに当たって、ダイアナ・ロスがジャクソン5を見いだしたというストーリーに変えた。だからジャクソン5のデビュー盤「帰ってほしいの」の原題はDiana Ross Presents The Jackson 5である。
・そのダイアナ・ロス役はカット・グレアムが演じていたのだが、映画の再編集ですべてカットされた。このことは全米公開直前にグレアム自身がSNSで発表したが“特定の法的配慮”が理由とのこと。
・マイケルたちが初めてレコーディングで訪れるモータウン社。カメラはビルの屋上の看板らしき物を映す。裏からなので文字が逆になって分かりにくいが“6464”と書いてある。これは当時のモータウンのロサンゼルス支社が入っていたビルで、住所はサンセット大通り6464。現在もこのビルは残っており、Googleのストリートビューでサンセット大通りと交差するウィルコックス街から見ると“6464”が確認できる。
・ソロアルバムが大成功すると、レコード会社の社長が「リーバとデュエットしてればカントリー・チャートも制してたろう」と褒める。これはリーバ・マッキンタイアのこと。日本ではなじみがないが、アメリカではカントリーの女王と呼ばれている。
・マイケルに食事を差し入れる場面で「ゴールデン・テンプルから」というセリフがあるが、これは当時の有名人が行きつけのベジタリアン・レストランで、マイケルも常連だった。後にここのスタッフがマイケルの専属シェフになったそうだ。このセリフに続いて「フライドチキンと君の大好きな赤いキャンディもあるぞ」と言うのだが、マイケルはオーガニックでヘルシーな食べ物を好む一方で、フライドチキンも好きだったようだ。キャンディについては特に好んでいたかは調べがつかなかったが、後年、彼が法廷でキャンディを食べる写真が見つかる。

アーカイブ

ランキング

最新記事

一覧に戻る

資料請求・お問い合わせ CONTACT

当サイトをご覧いただきありがとうございます。当校の映像翻訳講座に関するお問い合わせ、資料のご請求は下記のメールフォームより受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

資料請求・お問い合わせ

資料請求
お問い合わせ