答え:「教皇」が正しいです
忙しいと新聞を見なくなるが、それでもテレビのニュースは聞くようにしている。巷ではローマ教皇の38年ぶりの来日で沸いている(この稿は2019年11月23日に書いている)。第34回のコラム「質問:教皇と法王、どちらが正しいですか」という話を書いたが、カトリック関係者は「教皇」を使う。僕も教皇関係の作品を手がけて以来「教皇」と書く癖がついた。しかし政府やマスコミは「法王」を使うので、一般的には「法王」が普通だ。
今回の来日報道でもテレビは当初「法王」と言っていた。ところが気づくと「教皇」と言っているではないか。聞き違いかと思い、改めて確認したがやはり「教皇」だ。慌てて新聞をチェックすると、朝日新聞は11月22日付け朝刊で、読売新聞は11月23日付け朝刊で、それぞれ「教皇」と表記を変更する旨のことわりを載せていた。
これは外務省が11月20日、フランシスコ教皇の来日を機に「教皇」を使用すると発表したからだ。理由は①カトリック関係者が「教皇」を使用していること ②日本政府が「教皇」を使用してもバチカン側は問題ないことが確認できたため、と説明している。
なぜカトリック関係者が「法王」より「教皇」を使うのかについては、上記「質問:教皇と法王~」に詳しく書いた。また、政府が「法王」を使い続けた理由も同稿に書いてある(使い続けた理由についてはカトリック中央協議会のHPを参考にしたのだが、改めて確認すると元となった記述は削除されていた)。公式発表は別として、なぜ今になって政府が「教皇」に変えたのか真の理由が気になる――文字どおり教皇来日を機にということなのかもしれない。だだ、かつて外務省は2015年にグルジアがジョージアに表記を変更したことを引き合いに「大使館から名称変更の要請があればしっかり対応する」と呼称変更の可能性に言及していたらしい。
ちなみに千代田区三番町にある「ローマ法王庁大使館」の名称も「ローマ教皇庁大使館」に変更されたかについての言及は見つからなかった。場所は知っているので、今度何かの折に確認してこようと思う(追記にご期待ください!)。
ということで皆さん、これからは迷うことなく「ローマ教皇」で大丈夫ですぞ!