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翻訳の現場から


2023.12.19

風間先生の翻訳コラム

コラム第108回:オーストラリア学校案内

オーストラリア学校案内


『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』
12/22(金)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
© 2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia
配給:ギャガ

 「ミッドサマー」など独自の作品で知られるスタジオA24から、同社のホラー史上最高興収をたたき出した映画「TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー」がいよいよ日本で公開される。死者の霊を降ろすことができる“手”をめぐって若者たちがトラブルに巻き込まれていくという物語だ。
 A24作品と書いたが、今回同社は北米配給権を獲得しただけで、作品自体はオーストラリア制作。主人公たちは学生である。そこで今回はオーストラリアの学校制度について少し書いてみたい。
 オーストラリアの義務教育は日本の小学1年生の1年前、幼稚園年長から始まる。学校は日本の小学校に相当するprimary schoolと、中学と高校が一緒になったsecondary schoolの2種類だけ。期間は州によって違うが、プライマリースクールは7年制または8年制(日本の小学6年生または中学1年生に相当)の2種類。8年制の場合はセカンダリースクールが5年制、7年制の場合は6年制となる。セカンダリースクールの前半がジュニア、後半がシニアと呼ばれ、それぞれ中学、高校と思えばいい。5年制の場合は最初の3年がジュニア、残り2年がシニアになる。6年制の場合はジュニアが3年でシニアが3年の州と、4年と2年の州にさらに別れる。まとめると8・5(3・2)制、7・6(3・3)制、7・6(4・2)制の3種類ということだ。
 本作のメインキャラは主人公と恐らく同級生たち、その弟と友人だ。舞台がどこの州か明言されていない。以下は僕の推測だが、7・6(3・3)制の州ではないだろうか。メインキャラの中の姉弟が「18歳未満のくせに」「(そういうあんたは)15歳未満でしょ」というやりとりがある。18歳未満というのはまだ成人じゃないくせにという意味だろう。オーストラリアの成人年齢は18歳以上だ。だから別のキャラのセリフで「僕は18だから(親への)連絡を免れた」というのが出てくる。
 話を戻すが15歳未満というのは15歳を過ぎてない=まだセカンダリーのジュニア、つまりまだ中学生でしょと言いたいのだと思う。そして15歳を区切りにしていることから、ジュニアの最上級生が15歳である3・3制ではないかと推測したわけだ。ということは弟も含めてメインキャラは全員がセカンダリーに在学していて、主人公と同級生はシニアの最上級生、弟たちはジュニアの最上級生という設定と読んだがいかがでしょう。
 それと主人公たちは車を乗り回しているが、オーストラリアは満16歳以上で免許取得が可能。従って車での通学も認められている。この辺の事情はアメリカ映画の青春ものでもおなじみだろう。
 本編では学校の駐車場の場面があるが、そこで見られる生徒の制服について。オーストラリアはプライマリー、セカンダリー共に制服があるのが普通だ。私立校だと日本のようにブレザー・タイプが多いが、公立校は違う。基本はポロシャツだ。下はズボンか短パン。意外なのは動きやすさを考えて短パンを選ぶ生徒が多いことだ。日差しの強い州が多いという理由もある。女性の場合はこれにスカートが加わる。女性がズボンや短パンを選んでも構わない。ポロシャツはズボンやスカートの中に入れず外に出す。色は学校によってスクールカラーが決まっている。主人公たちの通う学校の色は紺で、ポロシャツは脇と襟に白のラインが入っていた。さらに女性はドレスを選べることが多い。ドレスの場合はワンピースである。主人公の親友がワンピースを着ている。
 ちなみに去年やった「渇きと偽り」もオーストラリア映画。20年前という設定で主人公の17歳当時、つまりセカンダリーのシニアの制服が映るが、男子はポロシャツではなく半袖シャツに短パン(内陸で暑い土地という設定)。女子はワンピースで、短パンの生徒はいなかった。時代考証が正しいなら、当時はまだ女子はフェミニンな格好が当然な時代だったのだろう。

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