tubeとは地下鉄の意味です
発売中
DVD 3,800円(税別)
発売元・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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日本では劇場公開されなかったが、何とも賑やかなアクション作品がDVDで登場する。「アクシデントマン」という作品だ。主人公は殺し屋。相手を事故に見せかけて殺すのが得意だ。ところが元恋人が殺され、どうやら犯人は殺し屋仲間の誰からしい…
イギリスのコミックを映画化した本作の主演はスコット・アドキンス。アクション俳優として注目され、「エクスペンタブルズ2」で敵役のジャン=クロード・ヴァン・ダムの右腕を憎々しく演じていた。アクションもキレキレなのだが、なかなか演技もうまく、荒唐無稽なストーリーと相まって楽しめる拾い物だ。今回、僕は吹替を担当した。
さて、上でイギリスのコミックと書いたが、物語の舞台はロンドン。スコット・アドキンスを始め、主要キャラはイギリス人が演じている。当然、話されているのもイギリス英語だ。同じイングリッシュとはいえ、米語と英語では使う単語が違ったり、イギリス独自の言い回しがあったりと、似ているようでかなり違う部分もある。例えば卑語。米語といえばfuckだが、英語で圧倒的に使われるのはbollocksだ。本来の意味は睾丸である。bloody hellというのもよく出てくる。どちらも米語ではまず聞かない。
卑語の話ばかりでは何だし、他に気になったイギリスならではの表現をいくつか挙げてみよう。
・How did you get on?:「どうだった?」という意味。例えばHow did you get on that test?/例のテストはどうだった? などと使う。アメリカ人にも伝わらなくはないらしいが、アメリカ人ならHow did it go?とかHow was it?などと言うのが普通なようだ。
・right royal:「素晴らしい」という意味と、強調の意味のabsolute, utter, extreme/非常に、すごくという意味の2つがある。前者ならwe had a right royal night/素晴らしい夜を過ごした、などと使う。
・oi:発音は「オイ」だが、意味も「おい」でいい。heyと同じく相手への呼びかけとして使う。これも米語ではまず聞かない。
・Bob’s your uncle:これもイギリスならではの表現。万事オーケー、何も問題ない、という意味だ。例えば道を訊かれたら「~を曲がって真っ直ぐ行く」などと英語で言って、最後にand Bob’s your uncleと付け加える。「~を曲がって真っ直ぐいけば万事オーケー→すぐ分かるよ」などと使う。
直訳すれば「ボブは君のおじさん」という意味だが、この表現の語源は、1887年に当時のイギリス首相ロバート・ソールズベリー侯が、まだ駆け出し政治家だった甥のアーサー・バルフォアを高給職のアイルランド担当次官に任命したことに由来すると言われている。人々はバルフォアのことを「そりゃあんたのおじさんはボブだからね」と皮肉ったそうで、ここからこの表現が生まれたらしい。もちろんボブとはロバートの愛称だ。ちなみにだが、あのシャーロック・ホームズが活躍したのはソールズベリー侯が首相の時代だそうな。
・by the end of play:このplayは「遊び」ではなく試合やゲームの意味の「プレー」で、直訳すれば「プレー終了までに」の意味になる。しかし通常はビジネス用語で「就業時間までに」という意味になる。
ビジネスメールなどではこれをEOPと略す。同じ意味で「COP」=close of play、「COB」=close of business、「EOB」=end of businessという言い方もあり、どれも意味は同じ。これが「その日中に」だと「EOD」=end of dayとなる。
実はEOP/COP…自体は英米共に使うのだが、面白いのは具体的な時間がアメリカとイギリスで違うことだ。アメリカでは通常午後5時を意味する。しかしイギリスでは午後5時半の意味だ。ちなみにEODは23時59分を意味し、これは英米共に同じだ。