修了後の進路:社内チェッカーというお仕事
大久保 拓さん
講座 | 通信・大阪校 英日字幕翻訳講座 |
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修了年月 | 2016年 |
修了後の進路 | 2011年 通信 英日字幕翻訳講座を受講。仕事が多忙になり受講途中のままになっていたが、2015年に大阪校の通学講座 開講を知り、基礎科から再受講。2016年12月、ワイズ・インフィニティ 大阪事業所立ち上げと同時に、社内チェッカーとして入社。現在、チェッカー歴7年目。 |
修了後の進路:社内チェッカーというお仕事
翻訳スクール卒業後は、フリーランス翻訳者になるものであると考えている方も多いですが、「翻訳者」だけが翻訳のお仕事ではありません。翻訳スクールでの経験を生かせるお仕事は、他にもあります。そのひとつが「チェッカー」です。
ワイズ・インフィニティは、母体が翻訳会社なので、配給・制作会社等から翻訳の依頼があります。依頼があった翻訳は、登録しているフリーランスの翻訳者(トライアル合格者)に翻訳をしていただくのですが、会社として品質の管理をしなくてはなりません。その翻訳の品質管理・チェック業務を行っているのが「チェッカー」です。
ワイズのチェッカーは、1日8時間・週5日などのように決まった時間で勤務をしていますが、案件発生ベースでフリーランスチェッカーとしてチェックをするという働き方もあります。チェックは、翻訳の善し悪しを判断しなくてはいけないので、フリーランスでお願いをする場合は、ベテランの翻訳者や、特別な研修を受けた人が担当をします。このような方々は、翻訳との兼業が多いです。そうなると、修了後に翻訳の経験もなく、チェッカーになるのは難しいのでは?と思うかもしれません。
しかし、翻訳会社のような企業内で働く社内チェッカーは、翻訳者としての経験が浅い方も募集をしていることが多いんです。社内チェッカーはフルタイムなど、長時間チェック業務に従事することになるので集中して育成ができますし、翻訳を学んだ方はフリーランス思考が強いので、経験を積めば積むほど、会社員のような働き方から遠ざかってしまい人材が不足しているという理由があります。
チェック業務は、翻訳者になるステップとしても、学びが多いお仕事ですので、ぜひ、修了後の選択肢のひとつとして検討してみてください。ワイズの字幕講座を修了し、チェッカーとして働いている大久保さんに、受講中から修了後、現在のお仕事の内容についてお聞きしました内容をご紹介します。
字幕翻訳に興味を持ったきっかけは、なんですか?
中学生のとき、『アルマゲドン』の劇中のセリフで、「Ever」を「死ぬまで」と訳していて疑問に思ったのがきっかけです。「Ever」って中二的にすごく惹かれる言葉だったんです(笑) 色々と調べてみて、字幕には字数などの制限があって、この場面では、こういう表現の仕方があるってことを知り、「言葉ってカッコいい!」ってなりました。
翻訳の仕事がしたいというのは、頭の片隅にあったので、大学を決めるときに、とりあえず外国語学部を出ておいた方がいいかな?と思って、外語大に入りました。翻訳者はフリーランスでやるものと思っていたので、まずは就職をしてお金をためつつ勉強しようという考えがあり、大学卒業後は、父親と同じ現場監督の仕事に就きました。
通信・通学講座の受講は、それぞれ どのような経緯で決めたのですか?
就職したときは、茨城に住んでいたので、毎週東京に通うのはキツいかな…と思い、初めは通信で受講しました。実践までは、順調に進んでいたんですが、現場監督の仕事がハードすぎて、休みがまったくなく、課題もできずにフェードアウトしてしまいました。
それでも、やっぱり翻訳者になりたい!という気持ちがずっとあって、仕事を辞めて故郷の大阪に戻ったら、大阪でも通学講座が開講していることを知り、また、いちから字幕翻訳の勉強をしようと決心して再受講しました。
通信と通学の講座を両方受けて、どのような違いを感じましたか?
通信講座では、1対1の添削なので、細かくコメントもいただけて、毎回の添削は勉強になることばかりでした。物理的に通えない状況でも、通学と変わらないカリキュラムで学べたのはありがたかったです。
通学講座では、クラスメートの訳や間違いも聞くことができたので、そこからの学びは多かったです。当時のメモは、チェッカーになってからも、しばらく参考にしていました。男性1名で、やっぱり女性が多い世界なのかな…と思ったりもしましたが、男の方が、荒っぽい言葉の字幕が自然にできるなぁとか、男性ならではの強みも知ることができました。今でも、定期的に先生から、ごはんのお誘いなどをしていただけるので、これも通学講座からつながったコミュニティなのかなと思ってます。
修了後、ワイズのチェッカーには、どのような経緯でなったのですか?
修了後は、トライアルを受けてフリーランスに…と思っていましたが、ちょうどワイズが大阪に事業所を開くタイミングで、社内チェッカーの募集をしていて、声をかけていただきました。初心者講座か何かでオフィスに行ったときに、スクール担当のスタッフに覚えてもらっていたみたいです。
通信と通学のダブル受講は珍しいですし、その字幕への熱意が印象に残っていたのかもしれませんね。色々なところに顔を出して覚えてもらうというのも、お仕事につながるコツですね。社内チェッカーのお仕事は、どうですか?
翻訳よりも、チェックの方が、たくさんの作品に携わることができるので、それはこの仕事の面白みのひとつです。また、新人さんからベテランまで、色々な人の訳を見るので、とても勉強になります。
うまい人は、ふかんで作品を見ているなあとか、どんなセリフもキャラクターに合った言葉を選んでいて、言葉の引き出しが多いなあと感心します。やはり、チェックが多く入る方の訳は、目の前の字幕と向き合いすぎて前後の流れがおかしくなっていたり、情報の正しい取捨選択ができていないと感じることが多いです。自分が翻訳するときも、そういうところは意識しないとなあと思ってます。
ゆくゆくは、翻訳の仕事をメインでという気持ちもあると思いますが、今のチェッカーの仕事が翻訳に役立つことはありますか?
チェックをしていても、原文と照らし合わせながら、訳を考えることもあるので、翻訳の練習にはなっていると思います。ただ、「翻訳は翻訳者さんのもの」という意識を持っているので、明らかな間違いでないかぎり、修正は慎重にしています。とはいえ軽微な修正ももちろん行うので、修正箇所に目を通してもらうようにメモを残してお渡しします。納期が許すかぎり、なんかしっくりこないなあと思うものは、翻訳者さんと意見交換を行います。翻訳者さんに納得をしていただいた上で、自分もすっきりできる字幕が出来あがるのが双方にとってもベストですし、視聴者の方も見やすいはずです。
技術面では、納期は待ってくれないので、限られた時間の中で、どうスピードをあげて、クオリティを担保するかというのも、必然的に考えるようになりました。量をこなさないといけないので、スピードや精度という面でとても鍛えられていると思います。また、さまざまなクライアントの案件をチェックするので、違ったルールや要望への臨機応変な対応も身についたと思います。
今後の目標や夢はありますか?
ワイズ・インフィニティでチェックの仕事は続けながら、自分自身も勉強をさせていただきつつ、翻訳者の育成もしたいと考えています。将来的には翻訳だけで食べていければいいなと思っていますが、翻訳には定年はないので、死ぬまで翻訳の仕事はしていたいですね。
大久保さんの場合は、チェッカーから翻訳者になりたいという目標がありましたが、チェックの方が楽しいから、たまに翻訳ができればよいと考えるスタッフもいます。また、ベテランのチェッカーの中には、講師や新人育成の分野で活躍している人もいるので、必ずしもゴールが翻訳者ではなくても、自分の好きなことを仕事にしている人はいます。目指すもの、環境、条件などは人それぞれなので、行き詰まってしまったときは、ぜひ選択肢を広く持って考えてみてください。
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