コラム大掃除:2022年
今年も大掃除の季節がやってきた。ということで2022年版の大掃除――コラムのケアをお送りします。各回も参照してください。
・第84回:黒人の髪形(女性編)
先日「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」という1960年代のアメリカ南部の黒人メイドの物語を見た。この中でヴィオラ・デイヴィス扮するメイドがウィッグを着用している。冒頭の方で、仕事から帰って自宅で風呂に入るシーンがあるが、ウィッグを取って、頭型(?)のウィッグスタンドに置いてあるシーンが見られる。ウィッグを取ったデイヴィスの頭はかなりの短髪だ。リラクサーやウィーヴだけでなく、ウィッグという選択は一番簡単で安価だったのだろう。
・第84回:黒人の髪形(女性編)
同じく第84回から。偶然読んだ町山智浩氏の「今のアメリカがわかる映画100本」のプロローグに「ズートピア」の話が出てくるが、その中で狐のキャラが羊の頭のモフモフの毛を触ろうとして、兎のキャラに「ダメ!」と止められる。これは本稿で書いた“黒人の髪に触ろうとする”行為を描いているのだそうだ。この場面、映画館では大爆笑だったらしい。いわゆる“あるある”なのだ。現実では、黒人の髪に一番触りたがるのは子供だとのこと。
・第88回:サクラサク
バイデンが学生ローンのうち1万ドルの返済を免除するという公約を紹介したが、2022年8月24日、バイデン大統領は年収12万5000ドル未満の借り手は1万ドルの返済を免除すると発表した。現在、アメリカで公立大学を出た人の学生ローン平均負債額は3万7358ドル(出典:Best Colleges)だそうだ。日本円にすると約500万円。卒業時に既にそれだけの借金を抱えて社会人をスタートするわけだ。アメリカは日本のように借金=悪という意識がない。借金ができるのは信用があることだと捉え、自分への投資として、ローンで進学する。とは言っても、この額はやはり大きすぎると言わざるを得ない。
それと異常に高い学費で知られるアイビーリーグだが、例えばハーバード大学は、年収6万5500ドル以下の家庭には学費と寮費を免除するという制度があるそうだ。足下ばかりを見ているわけではないらしい。
先に行われた中間選挙では、学生ローン免除は妊娠中絶と並んで争点の一つとなり、Z世代を中心に民主党善戦の要因になったと言われている。ただし11月10日にはテキサス州連邦地裁がこれを違法とする判断を示した。判決を下したのはトランプ前大統領が指名した判事である。先行きはまだ不透明なようだ。
・第92回:サンタマリア
文中では“バプティスト”と書いているが、「朝日」では“バプテスト”と書くよう指示がある。僕が“バプティスト”を選んだのは映画「リスペクト」や「アメイジング・グレイス」の翻訳に当たって参考にしたアレサ・フランクリンの自伝「リスペクト」(題名が同じなのでややこしい)での表記に従ったからだ。同書では“バプティスト”を使っており、映画「リスペクト」「アメイジング・グレイス」でも“バプティスト”で統一している。ちなみに発音記号や発音サイトを確認すると“バプティスト”の方が近い。恐らく“バプテスト”というのは戦前からの表記なのではないか――キャンディをキャンデーと表記する類だと想像するのだがいかがだろか。